エリック・クラプトンの日本公演、武道館に行ってきました。
平成最後のコンサートになりました。エリックもこの3月で74歳です。
クラプトンといえば、1960年代前半から活躍するロックギタリストのパイオニア。60〜70年代の三大ギタリストの一人として有名ですね。(それぞれの時代に三大ギタリストがいると思います)
とても長いキャリアですが、ちゃんと現役でいてくれることをとても嬉しく思と同時に、「よくぞ生き残った!」と感慨深くもなります。生き残ったというのは生物学的に生き続けられたということと、ミュージシャンとして生き残っているという両方の意味です。まるで演歌歌手のように山あり谷ありの人生を歩んできました。
私はリアルタイムは1974年の「461 Ocean Bouleverd」からです(年がばれます)。当時、音楽誌で”クラプトン、カムバック!”と、けっこう大きく取り上げられていたと思います。カムバックとは、それ以前の3年あまりをヘロイン中毒により廃人同様、死んでもおかしくないような状態で過ごし、その薬物依存から脱却して音楽の世界に戻ってきた状態だったからです。
暗黒の3年間に突入してしまったのは、親友ジョージ・ハリスンの当時の妻、パティに苦しい恋をしてしまい「レイラ」という曲を捧げたものの振られてしまったこと、親友のジミ・ヘンドリックスやデュアン・オールマン、親族の死、音楽的なことなど重なったのでしょうが多分死んでも構わない気持ちで過ごしていたと思われ、再起不能とまで言われていました。
カムバック後はコンスタントにアルバムを出し活躍しますが、90年代に入り4歳半の息子さんを事故で亡くしてしまいます。大変痛ましい事故で、当時TVのニュースを見て驚きました。エリックは大丈夫なんだろうか・・と世界中のファンが心配したと思いますが、息子さんのことを歌った「Tears in Heaven」の入っている「Unplugged」というアルバムを翌年に出し、これが大ヒットします。
エリックは自叙伝を出しています。それを読むと74年のカムバック後は深刻なアルコール依存症になっていたとのこと。女性関係も相当にひどく、ジョージと離婚したパティと一緒になってからもなお、多くの女性たちと関係を持ち、当然パティとの仲も何度も危機的状況になりその結果離婚に。女性からすると最低の男だあなと思わずにはいられないほど。彼のこうした特徴は、幼少時代の不幸な家庭環境にも遠因があると思われますが。しかし一方でこの自叙伝を読むと、エリック・クラプトンという人の驚くほど正直で率直なことにも驚きます。相当恥ずかしいことや、そこまで書かなくてもということまで実に正直にさらけ出し(執筆当時60歳くらい)過去の自分をある意味自嘲気味に客観的に書いています。というのは、彼は結果として断酒に成功し(その後禁煙も成功)、現在は素面(しらふ)歴30年あまりの人になっているからです。そもそもの断酒のきっかけは、やはり息子さんの誕生だったようです。それは二度目の断酒で(一度目は失敗している)、やがて息子さんの死があり、それでも酒に戻らなかった・・というのが凄いところです。悲しみのどん底にいるときに、ひたすらギターを弾き続けたことで救われたというクラプトン。
50代半ばで30歳ほど年下の女性と出会い結婚、娘さんたちにも恵まれ良きパパになり幸せな家庭を得たことで心の安定も得たエリックは、その後も順調に音楽活動を続けて現在に至る・・・といった波乱万丈の人生。音楽じゃなくて私生活の話だけで長い・・・。